2018年7月18日水曜日

学校給食地産地消化 鮫川村 視察

先週に続き、南摩地区学校給食地産地消化計画「なんま夢やさいプロジェクト」の視察。
今日は福島県鮫川村へ。


わざわざスライドを用意してくださった。ありがたい。
まずは資料を見ながら、歴史や仕組みを教えていただいた。
鮫川村では、「手まめ館」という農産物直売所と連携して学校給食の地産地消化を実現している。
地元の農家が野菜を納める直売所から優先して野菜を仕入れることで、無理なく自然な流れで給食が地産地消になる。
ここまでは他の地区でもよくある話。ここのすごいところは、
直売所「手まめ館」に野菜の一次加工所や米の炊飯室が備えてあり、
時間や手間の負担の大きさ、設備不足などの理由で給食に使えない地産作物も、
ここで中間処理を行うことで給食への供給を可能にしていること。
例えば、かぼちゃのカット、大豆の水煮、じゅうねん(エゴマ)すり等。
カット野菜などの加工作物は、給食用以外にも販売しているのかと思いきや、ここで一次加工したものは全て給食用になるとか。住民の皆さんの給食への想いが凄すぎる。
ごはんも、直売所内の炊飯室で炊き、炊飯器ごと学校に届けることで、ほぼ炊きたてのごはんを提供できるようにしている。箱詰めされて汗をかいたごはんと、釜からよそい立てのごはんでは、美味しさの違いは明白。

給食の試食をさせていただく。
この日は、麦ごはん、ホッケ、夏野菜と豚肉の味噌炒め、豆腐と油揚げともやしの味噌汁。
米、ナス、玉ねぎ、ピーマンが村内産。豆腐と油揚げは村内産大豆を「手まめ館」で加工したもの。味噌は「手まめ館」製と、隣町の直売所で製造しているものを混ぜて使っているという。
野菜がたっぷりで美味しい。
豆腐は消泡剤不使用。大豆の味がしっかり感じられる。
メニューは、夏に子ども達から、秋には村民全体からレシピを募集するコンテストを実施していて、優秀作品は実際に献立に登場させているんだとか。
募集するレシピにテーマを設ける(例えば「大豆料理」とか)ことで、
テーマ食材の消費活性化にも役立っている。おもしろい。

給食をいただいた後は、「手まめ館」へ移動。

 暖簾が渋い。

炊飯室。学校毎に違う釜で炊くことで、炊飯器ごと納品できる。
隣に洗米室もあり。
ちなみに米は村の独自基準に沿った特別栽培米を使用している。

野菜の一時加工室。広くて充実した設備。
夏には、夏休みの間に収穫最盛期を終えてしまう村産インゲンを、
大量にボイル~冷凍保存(昨年は130kgだとか!)し、適宜納品することで、翌2月まで給食に村産インゲンを使用するという。
これは農家にとっても売れ残りにならずに助かる。みんなが嬉しい仕組みだ。

採れたての野菜や、村内産材料でつくる加工品が並ぶ直売コーナー。
壁にはずらっと生産者さんの顔写真が。
直売所の規模からすると、生産者さんがとても多いように感じた。
村内産大豆の納豆や豆腐、きなこ、特別栽培米などをお土産に購入。食べるのが楽しみ。

締めにレストランコーナーで、エゴマ入りソフトクリームをいただく。
芳ばしい香りがして、うまい。
地元のお母さん達が切り盛りしていて、いい雰囲気だった。

南摩に直売所をつくる、というのはさすがに本事業では難しい話だけど、
調理員さんの負担を増やさずに、地域に仕事を生みつつ給食を変えていく工夫は、
アイディア次第で何かできるのではないかと感じた。
また、鮫川村学校給食センターの所長さんから、
「持続的に継続、発展させていくには、無理なく、ゆっくりが肝心」
と、大事な言葉をいただいた。
歩みは遅くても、着実に前へ。より多くの人が笑顔で関われる計画にしていきたい。

2018年7月13日金曜日

圃場見学会と経過考察

先日、上都賀農業振興事務所からのご依頼で、
圃場見学会の受入に協力した。
画像はその模様が日本農業新聞栃木版に掲載された様子。

この見学会の中で、一本杉農園の圃場で実験的に実施している農法について話した。
その経過観察と考察を少し。

まず話したのは、
なぜ雑草は畑で生き抜く力が強いのかについての僕なりの考察。
それは、
・その場で連綿と種を繋ぎ、その度にその場の環境に適応した個体が自然に選抜され続けているから
・種の供給量が、人間が蒔く野菜の種とは比べ物にならないくらい多いから
大きくはこの2つだと考えている。
次に提起したのは、
「畑にはえる草が全部食べられる草ならば、草取りが収穫に変わる」
という発想の仕方。
そこで生まれる目標は、野菜に上の2つの雑草の強さの秘訣を持たせることで、野菜を雑草化させることだ。

方法は、
①野菜(今試しているのはアブラナ科)を収穫適期後も畑に残し、種ができるまで待つ。
②できた種を圃場全体に大量にばら蒔く。
これだけ。
一本杉では、わさび菜とからし菜で試しているが、
昨年はこの方法で翌4月までずっとわさび菜とからし菜が収穫できた。
ポイントは種の量で、大量に蒔くことができれば、土の浅いところや深いところ、様々な場所に種が行き渡り、入れ替わり立ち代わりに発芽する。
これは雑草の生え方と同様である。
あとは、わさび菜とからし菜が雑草を打ち負かしてくれるかどうか。

今年の様子(7月2週目現在)。さつまいもの畝。
さつまいもの株間に生えているのはほとんどわさび菜。
この辺りは種の供給量が特に多かったため、わさび菜ばかりはえる。
わさび菜は雑草ほどには縦横に広がらず、根もすぐには深く広く伸びないので、さつまいもの生育にとっては多少邪魔ではあっても雑草よりはるかにマシだ。
また、雑草なら取り除くだけの作業も、わさび菜なら必要な量を収穫する作業になるため、取組むほうの気持ちも大分良い。

こちらはシカクマメの畝 (7月2週目現在)。
畝の上は2週間前に選択除草を行ったため、わさび菜ばかりが残っているが、
畝間はイネ科雑草(メヒシバ?) の海に。
発芽の少し後に一度人の手を入れるかどうかでかなり差がでるようだ。
種とりを重ねることでわさび菜の能力がもっともっと高まれば、いずれ何もしなくてもメヒシバにも勝るようになるだろうか。だといいな。

今年はわさび菜とからし菜に加えて、キク科のレタスも活用できないか試す予定(8月あたりに播種)。
「食べられる草しか生えない畑」を目指して、実験は続く。

2018年7月12日木曜日

学校給食地産地消化 喜多方市熱塩加納町 視察

南摩地区学校給食地産地消化計画「なんま夢やさいプロジェクト」のメンバーと、
地産有機無農薬野菜と特別栽培米の給食を30年前から続ける先進地、
喜多方市熱塩加納町に視察に伺った。

今日は生産者さんと生徒との交流会の日で、
僕らもそこに混ぜていただき、全校生徒+生産者+教員+視察団で給食をいただく。
この日の献立の米と野菜は自給率100%。
食べる前には、生徒から献立に使われている野菜と、その生産者さんの名前の紹介。
これには生徒と一緒に着席している生産者さんも嬉しげ。
次に生産者代表の方からもご挨拶が。
「皆さんが当たり前だと思って食べているこの給食、実は当たり前じゃないんです」
 言葉の奥にある愛の大きさ。

そして実食。
本当に驚くほど美味しかった。特に米。特別栽培米を胚芽米に精米して、自校炊飯だから炊きたてホカホカ。
野菜も、味が濃い。
同席していた喜多方市の栄養士さんが、給食を食べながら男子生徒に、
「この量でちゃんとお腹いっぱいになってる?」
と尋ねたら、
「胸いっぱいっす」
だって。うまいこと言うな。
また、お味噌汁がとても具だくさんだったので、調理師さんにそのことを話すと、
「生産者さんが予定よりたくさん野菜を持って来てくれたので、具がいっぱいになっちゃいました」と。
これは胸もお腹もいっぱいだろうなぁと、こっちが嬉しくなった。

食後には生徒から生産者さん達へ感謝状の贈呈。
腰の曲がったおばあちゃんが嬉しそうに感謝状を受け取る姿に、思わず泣きそうになってしまった。

調味料も本物を使用。
質も価格も高い調味料を贅沢に使うことができるのは、
野菜や米の価格を生産者が低く設定して納めてくれているからだという。

給食の時間の後には、
熱塩加納町の取り組みのご説明や、
栄養士さんと生産者さんへの質疑応答の時間も設けていただいた。
参考になるお話しが聞けて、ありがたい限りだ。
南摩地区と熱塩加納町ではそもそも持っている農に関する地域性が異なるので、
同じ形で仕組みをつくることはできないと思うけれど、
地域の子ども達への愛や、未来を思う気持ちを形にする熱意を、
大いに見習って計画を進めていきたい。