2018年7月13日金曜日

圃場見学会と経過考察

先日、上都賀農業振興事務所からのご依頼で、
圃場見学会の受入に協力した。
画像はその模様が日本農業新聞栃木版に掲載された様子。

この見学会の中で、一本杉農園の圃場で実験的に実施している農法について話した。
その経過観察と考察を少し。

まず話したのは、
なぜ雑草は畑で生き抜く力が強いのかについての僕なりの考察。
それは、
・その場で連綿と種を繋ぎ、その度にその場の環境に適応した個体が自然に選抜され続けているから
・種の供給量が、人間が蒔く野菜の種とは比べ物にならないくらい多いから
大きくはこの2つだと考えている。
次に提起したのは、
「畑にはえる草が全部食べられる草ならば、草取りが収穫に変わる」
という発想の仕方。
そこで生まれる目標は、野菜に上の2つの雑草の強さの秘訣を持たせることで、野菜を雑草化させることだ。

方法は、
①野菜(今試しているのはアブラナ科)を収穫適期後も畑に残し、種ができるまで待つ。
②できた種を圃場全体に大量にばら蒔く。
これだけ。
一本杉では、わさび菜とからし菜で試しているが、
昨年はこの方法で翌4月までずっとわさび菜とからし菜が収穫できた。
ポイントは種の量で、大量に蒔くことができれば、土の浅いところや深いところ、様々な場所に種が行き渡り、入れ替わり立ち代わりに発芽する。
これは雑草の生え方と同様である。
あとは、わさび菜とからし菜が雑草を打ち負かしてくれるかどうか。

今年の様子(7月2週目現在)。さつまいもの畝。
さつまいもの株間に生えているのはほとんどわさび菜。
この辺りは種の供給量が特に多かったため、わさび菜ばかりはえる。
わさび菜は雑草ほどには縦横に広がらず、根もすぐには深く広く伸びないので、さつまいもの生育にとっては多少邪魔ではあっても雑草よりはるかにマシだ。
また、雑草なら取り除くだけの作業も、わさび菜なら必要な量を収穫する作業になるため、取組むほうの気持ちも大分良い。

こちらはシカクマメの畝 (7月2週目現在)。
畝の上は2週間前に選択除草を行ったため、わさび菜ばかりが残っているが、
畝間はイネ科雑草(メヒシバ?) の海に。
発芽の少し後に一度人の手を入れるかどうかでかなり差がでるようだ。
種とりを重ねることでわさび菜の能力がもっともっと高まれば、いずれ何もしなくてもメヒシバにも勝るようになるだろうか。だといいな。

今年はわさび菜とからし菜に加えて、キク科のレタスも活用できないか試す予定(8月あたりに播種)。
「食べられる草しか生えない畑」を目指して、実験は続く。

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