2014年8月15日金曜日

食べる。

肺がんで入院していた祖父が、実家に戻ってきた。
治ったからじゃない。もう、やるべき治療がないからだそうだ。

以前から、永久歯の2本目が生えたり、心臓の血管が増えたり、
何か不調があっても超人的な回復を見せてきた祖父だけど、
今回はちょっと様子が違う。
見るからにエネルギーがなくなってしまっている感じがする。

今までと違ってしまっている、大きな要因として考えられるのは、
「食べられなくなってしまったこと」
だと思う。
食べられない身体になったわけじゃないけれど、食欲がなくなってしまっている。
薬の副作用もあるんだと思う。
やっぱり、「食べる」ってことは、人が生きる上でものすごく重要なことなんだ。

そこで、母と一緒に考えた。
祖父が、身体のだるさとか、頭がぼーっとするのとか、
そういう食欲を邪魔しているものを上回るくらい、
「食べたい」と思うようなものがあれば、きっと自分から手を伸ばしてくれるんじゃないか。
そしてそれは、身体に優しい、エネルギーの高いものがいい。

だから、また今日も、丸山さんの小麦でパンを焼いた。
僕が今できる一番を。

焼きたてのパンを見た祖父は、
自分から手を出して、食べてくれた。
僕が1切れ用意したのに、パンナイフを使って2切れ目を自分で切って皿にのせた。
結局全部は食べきれなかったけれど、
自分から食べてくれたことが本当に嬉しかった。
ひと口ずつ、少しずつ食べるその姿を見て、「入れ!俺のエネルギー!」なんて思いながら。

オーブンが使えなかったり色々あったけど、
今日焼いたパンは、今までで一番のパンだった。

【8月15日(金)】
晴れ/32℃・24℃
窓から盆踊りの音が聞こえる。明日は送り盆。

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